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ウェーブに取って代わるピッキング方式でオペレーションを効率化

Eric Lamphier 〜によって
Streamlining operations with waveless picking

近年、サプライチェーンやロジスティクスの専門家、とりわけ小売りの最前線で販売に携わっている担当者の前には、これまでにない困難な状況が立ちはだかっている。絶え間なく変動する顧客の需要を満足させるため、洗練されたオムニチャネル物流センターを構築しなければならないというのが、現在の小売り企業の実態ではないだろうか。こうしたプレッシャーの中で、物流センターのマネジャーは、プロセスの効率化、生産性の向上、注文の出荷対応などに追われている。彼らの助けとなる、効率的なオーダー処理が行える新たな手段が求められている理由がここにある。

Eコマースチャネルの戦略面での重要性が高まり、Eコマースのオーダーが増大したことで、物流センターの位置づけは大きく変わった。かつてのように小売り向けのDCあるいは販売店に大きなロットで出荷するといった単純なプロセスに代わって、今日の物流センターは、顧客に直接出荷し、消費者と直接つながる形で業務を行なっている。(つまり、すべてのオーダーが消費者の顔を見ながら処理されている)
約束の期日に正確に商品を届けることができれば、リピートオーダーの可能性は高まる。しかし反対に、配送結果が顧客の期待値に届かなければ、その顧客を完全に失う可能性さえある。従来、物流センターは、顧客のつなぎ止めに不可欠な要素とは捉えられていなかったが、現在では、顧客にリピートしてもらうために、満足のゆく経験を提供するという非常に重要な役割を果たしている。

従って、いまやオムニチャネルを提供している小売企業では、迅速で効率的なEコマースのオーダーフルフィルメントのプロセスが最も重要な要素となっている。顧客は質の高い商品の配送を期待しているが、企業はそれに対して確約し、配送業者は商品を確実に配達しなければならない。先端を行く企業は、そうしたニーズを支える新しいソリューションを開発、導入することに注力している。
一方で、スピードは最も重要な要素であるが、正確性を犠牲にすることはできない上、企業のサプライチェーンオペレーションは効率性と収益性を最大化するように設計されていなければならない。そうした条件のもとで競争力を上げるためには、物流センターは常に変革を続けていかなければならず、新しい機能、ワークフロー、ソリューションが次々と産み出されていく。

物流センターを構成する資源のバランス

物流センターのマネジャーには、常時監視していなければならない重要な4つの資源がある。それは、作業者、自動化機器、オーダー、そして在庫である。これらの資源のいずれかが不足したり過剰な状態になったりすると物流センターに問題が発生する。作業者と機器を考えてみると、物が流れる上で高価な資源の稼働率低下を防ぐためには自動化機器と人的資源がバランスしていることが重要である。在庫をとってみると、需要に対して重大な過剰在庫あるいは過少在庫とならないためには在庫とオーダー量の均衡を保つことが重要である。不満足を感じる顧客の発生を防止し、適切なバランスを確保するためには、物流センターのマネジャーとサプライチェーンチームは、オーダーを受けたり指示したりするエンターブライズリソースプランニングシステム(ERP)、自動機器を制御するウェアハウスコントロールシステム(WCS)、個々の在庫やオーダー、人的資源の意思決定を統合するウェアハウスマネジメントシステム(WMS)など、目的別に構築された特別なシステムを活用する必要がある。これらのシステムは、物流センター内で互いが協調しながら、効率的でバランスがとれた形で運用されなければならない。システムと資源の協調性が保たれなければ、出荷までのリードタイム遅延や、在庫不足、出荷できないオーダーなど、ダメージの大きな問題を招く。どのようにバランスが崩れても、無駄なコストが発生するか、顧客の不満足を発生させることになるのが現実だ。

フルフィルメントの新たなアプローチ

Eコマースオーダーに関わるプロセスを変革するためには、効率的なフルフィルメント手順を構築することが重要となる。従来の物流センターにおけるオーダーフルフィルメントのアプローチは、オーダーを大きなバッチで処理するウェーブ方式が一般的であった。このアプローチは、各オーダーのバッチが完了に近づくと次のバッチをスタートさせるというプッシュモデルであり、オーダーをバッチプロセスで物流センターのオペレーションに押しこむという形を取る。ウェーブ/バッチプロセスはオムニチャネル以外の物流では効果が高いが、Eコマースのオペレーションでは作業者と自動機器の稼働率を監視するため、作業のピークと閑散をくっきりと際立たせる。そして、稼働率の低い資源は物流センター全体の処理能力の低下を招き、それはEコマース対応のオーダーが毎日休みなく24時間にわたって入り続ける物流センターでは望まれない結果をもたらすことになる。顧客は最新のアプリやモバイル機器から注文するようになり、結果的にオーダーが迅速に処理されて早く配達されることを期待する。言い換えれば、リアルタイムのオーダーフルフィルメントとスピードを実現することが、今までにないほどに重要となっているのだ。

オーダーストリーミングがもたらすメリット

1オーダー当たり数点という比較的ボリュームが小さいオーダーを大量に処理するためには、今までと異なったフルフィルメントのアプローチが求められる。オーダーストリーミングは、ウェーブを用いない形のピッキング方法で、従来(ウェーブ以前)のオーダーフルフィルメント方法でありながら、より柔軟性に富んだ、Eコマースに適合する新しい手段だ。オーダーをバッチしウェーブという形で物流センターのオペレーションに流し込んでいたこれまでの方法に対し、オーダーストリーミングは、常時オーダーのプールを評価し、物流センターのワークフローに沿って流れるよう、大量のオーダーを最適化する方法を提示してくれる。ウェーブのプッシュモデルとは異なり、フルフィルメントオペレーションの資源に空きが発生すれば、即時にオーダーをワークフローに引っ張ってくる“プル”モデルによりオペレーションをまわす。これにより、すぐに対応しなければならないオーダーが次のバッチを待つことなく、緊急度の高いオーダーはすぐに引き上げられフルフィルメントプロセスが開始される。このアプローチでは、Eコマースオーダーを満たすために必要な人的資源と機器が使用可能であるかの整合性をリアルタイムでとり、物流センターの総資源のバランスをとりながら、効率を最大化するように導く。さらに、バッチを待って意思決定が遅れるようなこともなく、オーダーが実行可能な状態になったときにダイナミックにタスクを組み立てて指示を行える。異なったニーズや優先順位の高いオーダーのバッチを待つことなく、各オーダーはが個々にリアルタイムで取り扱われるため、結果として最新のデータによって意思決定を行うことが可能になる。

絶え間ない変革

Eコマースは小売業界に様々な形で激震をもたらしている。店舗、技術、従業員、そして業務プロセスは、刻々と変化を遂げているが、新しい形のオーダーに対応するために変革を遂げようとしている物流センターにとっても同じことである。オーダーストリーミングは、物流センターがEコマースショッピングの特徴である少量オーダーの常時流入を効率的に処理することを可能にすることで、迅速なフルフィルメントとポジティブな顧客体験を実現する。Eコマースショッピングは今後さらに拡大し、複雑化していくことに疑問の余地はない。その中でこれからの競争を勝ち抜いていけるのは、作業者、自動化機器、オーダー、在庫という4つの資源のバランスを適切に保つことができる新たなフルフィルメントプロセスを、強い意思で準備し、導入することができる企業だけであろう。

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